VS同志社香里 「ワセダ王者の前に散る」
2011/10/30
10月30日、1.2年生だけで昨年のチームと同じ場所にたどり着いた。しかし、対戦相手はAシード同志社香里。
大阪のAシード=全国ベスト8以上の実力は、早稲田摂陵の前に大きく立ちはだかった。
早稲田摂陵で初めて、試合前練習を行った前日。そして、全部員で決意表明を行った。
普段とは異なる特別な雰囲気に、生徒はこの試合の重要さに気づいたに違いない。
強いチームには必ず文化がある。その文化を継承し続けることで、チームには特別なものが生まれる。
それがほかのチームとの違いとなり、強いチームを生み出す『熱』となる。
そもそも早稲田と同志社の戦いはラグビー界では特別なもの。「赤黒」と「紺グレ」が激突するのは、この大阪でしか見れないこと。
それならばなおさら。これから、この戦いが特別なものになるように、早稲田は全力でぶつかる。
試合前、相手のアップに浮き足立つ彼らを見て、このプレッシャーを乗り越えなければ試合早々に決着はつくのが目に見えた。
しかし、アップが始まると一変した。何度も円陣を組み、王者に挑戦する気持ちは次第に高まった。
そして、早稲田摂陵で初めての『北風』を歌えば、王者のプレッシャーはなくなり、同じ土俵に立つ心の準備はできた。
10時 kick off
前半のプランは攻めない、打ち合わない、スローボールマネージメント。たとえつまらないと言われても、ワセダは勝つために最高の方法を考える集団。キックオフでターンオーバーすると、そこからひたすら10分、ボールをキープし続けた。分析通りブレイクダウンに人数をかけてこないので、ボールはキープできる。しかし、時計の針が15分に差し掛かったところで、痛恨のミス。
プランではないATに選手は戸惑い、ボールを失い、そこから先制トライを奪われた。ここは、落とし込めなかった指導陣のミスであった。
しかし、プランは変えない。前半は我慢。ボールを奪うたびにキープ・ザ・ボール。ミスをしても、BK陣の必死のタックルで最後の一線を越えさせない。キャプテン熊澤が相手CTBに刺さり仰向けにすると、それに共鳴したFB村井も相手を仰向けに。大きい相手を倒すには一歩踏み込む勇気を!自分からタックルする勇気を!これが早稲田のラグビー!体を張ることが信頼を得ること!
今日の試合には、その一瞬にかける想い、早稲田の誇りを持つ気概を感じた。
今日のFWは我慢し続けた。いつものだらしないFWではなく、体を張り工夫し続けた。しかし、一瞬の隙をSOにつかれて痛恨の失点。このミスは痛かった。
前半もう1トライを取られ、0-21で折り返す。
前半の予定は1トライ以内であったので、予定より2トライ余計であったが、これが王者。一瞬の集中力とギャップを見つける能力は秀逸。
ハーフタイムでの指示は『前半は我慢した。後半は予定通り打ち合おう。ワセダラシクいきましょう。』
後半は一方的な展開。攻め合えばミスは増え、相手がボールをもつ時間は増えるのは当たり前。しかし、自分たちの実力を知るにはよい機会。全力で攻め合うことで見える世界は違うはず。
後半も前に出て相手の攻撃を寸断し続ける。タックルは誰でもできる。それは早稲田のラガーマンとして当たり前のこと。
しかし、足も止まり続け、キックオフから1次防御を破られると湧き出てくる同志社のサポートに幾度となくゴールラインを破られた。
それでも、早稲田の集中力は最後まで切れなかった。早稲田の誇りにかけてあきらめることは絶対にしない。ワンプレーでも無駄にしない。そう、彼らは試合を重ねるたびに成長し、早稲田としてやるべきことをやり続けた。
結果は0-61。
数字だけ見れば大敗である。しかし、得るものは多かった。Aシードから学ぶべきことも多かった。自分たちのやり方を信じればAシードにも通じる部分はあった。試合後の彼らの表情を見てそう思ったに違いない。
「Boys be ambitious」 君たちの努力は来年必ず花開く。信じて練習すれば君たちも手の届くところにいける。
考えてみよう。1月の新人戦、4月の高校総体、君たちはラグビーにならなかった。しかし、今は違う。自分たちの進むべき道、
自分たちのやりたいラグビーが、自分たちのすべきラグビーが見えている。
前を向こう。自信をもとう。
来年は早稲田ラグビーを体現しよう。立ち止まってる暇はない。覚悟と信念を持ち、進み続けよう。
〈藤森コーチ〉
今日は王者の実力を見せつけられる試合でしたが、その中でも選手は自分たちのプランを貫き通した試合でもありました。夏合宿を通じてようやく自分たちのラグビーの形を見つけ、大会を通じて成長し続けてきました。今日の試合では勝つために、前半はスローボールマネージメントを徹底しました。勝つためにはこの方法しかありませんでした。正直、前半で3トライとられたことは不満ですが、実力差を考えれば妥当ではあると思います。しかし、もっと日ごろの練習で精度にこだわらなければいけないと痛感しました。一方でこのようなラグビーをできるようになったのは彼らの成長であり、評価したいと思います。同志社は分析通りBKに良い選手が多かったですが、うちのCTBも相手を仰向けにしていたので、十分通じていたかなと思います。試合の結果は残念ですが、うちは自信をつけた試合になったと思います。1.2年だけで初めて臨んだ大会で、Aシードとやれたことで、来年への財産はたくさんありました。また、明日から走り続けたいと思います。 保護者の皆様、OBの皆様応援ありがとうございました。