2010/11/11
それは誰も想像していなかった結末であった。試合終了の笛が鳴り響いたとき、赤黒の戦士たちは次々とグランドに倒れこんだ。
『なんでなんだよ・・・・』『このチームでラグビーがもっとしたいのに・・・・』
10/31日 この日は一生忘れない日になる。
実戦から遠ざかって一ヶ月。台風の余韻が残る雨の滴る日。
アップに先立ちコーチから『今日はこうゆう天候だし、競った試合になる。一瞬の油断が命取りになる、集中しよう』とアドバイスを受け、始まったアップ。
勤勉なDFとキックが特徴の高津に対して、どのように試合を進めるかが試合のキーポイントであった。
12時25分キックオフ。
試合開始早々からペナルティーの連続で15分自陣に貼り付けられるも、ここぞの集中力と体に染み付いた魂のタックルで最後の一線を死守。『早稲田集中』と何度も声がかけられる中、ようやく訪れた敵陣ファーストラインアウトAT。モールから分析どおりの外系1発で最後は早稲田のお家芸『カンペイ』でWTB辻井がビューティフルトライ!!キックは外し5-0.流れは早稲田に??と予定通りには行かず、相手の手堅いラグビーに自陣でラグビーを強いられる苦しい状況。でも早稲田の生命線はDFとブレイクダウン。相手が攻めてきても、この日負傷を押して出場したCTB小仁が何度もハードタックルで相手のチャンスを潰す。その気持ちに共鳴したのか、早稲田が誇る大型FL小嶋が、相手のカウンターアタックをライドオンタックルでシャットアウトする。ピッチの外からでも聞こえるその音は、早稲田ラグビーの体現者。しかし、この日は一番自信のあったラインアウトがイマイチ。相手のミスにお付き合いとなれば徐々に流れは移っていき、前半25分にDFの一瞬の隙を突かれてやってはならぬトライを献上。キックも入って5-7.
直後のキックオフ。大事なのはファースト。取られた後、取った後、すべてのプレーのファーストに集中をと練習からのイメージどおりでペナルティーをゲット。
ショットなのか攻めるのか?ここで『真島』早稲田は強気にトライを取りにいく。しかし、相手の執拗なタックルにゴールラインの壁を割ることが出来ず、ハーフタイム。
『大丈夫、だけど集中しよう。次の1トライが勝負を決める。だからこそスコアを先にするように』
キャプテン真島には、『敵陣に入ったらショットも考えるようにと』指示を与え、後半のキックオフ。
後半も前半と展開は同じ。キックラリーの応酬でエリアの奪い合い。しかし、結果としてこのキックラリーで自滅したのが早稲田。蹴ってはダイレクトタッチ、はたまたノーゲインとなれば点数が動かないのは当たり前。頼みのラインアウトATでも、痛恨のパスミスによるノッコンで流れに乗り切れない。結果的にはこの2点が重くのしかかり、真島組は夢半ばにして敗れ去った。
*保護者の皆様、OBの皆様、雨の中応援ありがとうございました。
(藤森コーチ)
今日は高津さんが私たちより良いラグビーをしたということです。結果は非常に残念です。彼らには4月からずっと、『早稲田は絶対に負けてはいけない』と言い続けてきました。それが早稲田の文化だから。わずか半年という時間の中で彼らは本当に成長したし、ラグビーの部分はもちろんだけど、精神的にも人間的にも大きくなり、教えている自分としても彼らの毎日の成長がとても嬉しかった。いろいろ改革も多くした中で彼らは必死に付いてきてくれたし、本当に素晴らしい3年生だったと思う。
『早稲田ラグビーとは何か』と彼らに対して毎日問いかける日々であったが、早稲田の伝統や文化、早稲田の選手として持つべきDNAなど彼らは体現してくれたと思う。それは観ている人にも伝わったと思う。
(『俺らはファミリーだから』と言いました)一緒に苦楽を共にした仲間だからこそ、わかる話。彼らは早稲田という責任と赤黒を着る責任、早稲田にしかわからない苦悩など一年間背負ってきた。本気で挑戦することの意味、目標に向かって真剣に取り組めば人間はこんなにも変われるんだということがわかったと思う。彼らの人生は長く、この先いろいろな壁にぶつかり悩むと思う。そのときに、本当に相談できる仲間というのは本気で目標に向かった同期であり、後輩である。本当に良い集団になったなと心から思う。
(彼らに対して言ったことは?)夢を持つこと、目標を持つことの大切さ、努力し情熱を持つこと、これから先もOBとして後輩を指導して欲しいと。笑顔でグランドに来てほしいと話しました。
(試合に出られない3年生もいたけれど?)彼らの努力はいつも見ていたし試合後にいろんな話をした。自分も大学ではAチームではなかったし、大学コーチ時代にもそうゆう大学生を見ていて、出られない人間の気持ちはすごくわかる。彼らのように出られない人間が早稲田を支えているからこそ早稲田は強くなると思うし、これから強くなっていくと思う。最後まで諦めないことが、早稲田の3年生が持つべき姿勢だと後輩にもわかったと思う。彼らが大人になったらゆっくりといろんな話をしたい。
応援してくださった皆様には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。選手と同様保護者の皆様、関係者の皆様の支援なくして今年のチームはここまで成長できなかったと思います。試合後にはいろいろな方に声をかけていただき、温かい言葉、励ましなど多数受けました。いつかみなさんに心から喜んでもらえようまた一からがんばりたいと思います。
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