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VS常翔啓光学園「赤黒とロイヤルブルーの交錯。大澤組の現在位置と見えた課題」

2018/05/22

この半年間のプランが正しいか間違っているかは、この試合結果で証明される。
月21日 この日、早稲田摂陵の歴史において早稲田らしさのカケラもなく惨敗したことは何度も記してきた。
それよりも二ヶ月前のファーストミーティング。大澤組の現状から新人戦での勝敗は非常に厳しいものになると予想できたので、この春大会でシード権を獲得することが目標に掲げられ、チームづくりは進められていた。
新人戦で惨敗してから自分たちがどのように戦えば勝てるのか模索しながら練習してきたが、勝ち癖がない選手たちはプレーやコールに自信がない。自分たちは勝てるのかと疑いながら突入した春大会。
一戦ごとに戦術テーマを掲げられ、そのプレーを練習することで試合に勝つことができた。自分たちがしなければいけないことは練習に全て詰まっていることが実感できたのは試合結果から。なぜ勝つことが大切なのか。なぜ日々の練習が大切なのか。そこには色々な意味がある。



練習に対する意識に変化が見られたのはこの代の特徴。その意識の変化と自信は一戦ごとに高まっていた。時折、不安定な成長曲線を描きながらではあるが。。それは自分たちがどのような立場にいて、どのような気持ちとプレーをしなければいけないかを見失うからである。
勝ったときこそ自分たちのチームへの警戒心を強めなければならない。結果は大事であるがそのプロセスは正しいかどうかを冷静に見る必要がある。
そう考えれば試合結果とは別に常に改善点がある大澤組。時間は限られているなかで、日々成長しながらプラン通りにこのシード決定戦に進出した。



そして我々の挑戦を待ち受けるのは常翔啓光学園。今の立場は我々が挑戦者。
下剋上を起こすために必要なことはメンタル面で引けを取らないこと。
いくつかこの試合でプランがあった。前半早々にそのプランの1つは実行できなくなった。そのことでデメリットも生まれたが、大きなメリットが生まれた。しかし、彼らはその答えを前半30分では見つけることができなかった。アリ地獄にハマったかのように自陣から脱出できず、ゲームは停滞した。それが彼らの実力であり、コーチング不足である。答えを見いだせなかったのは我々に問題があるが、やはりあのロイヤルブルーのDNAが試合展開を難しくしたことは間違いない。ゴール前にいってもビシッと止めてくるあのタックルはやはり伝統である。それは戦前のコーチの話からもあったように同じタックルというDNAを持った2つのチームが戦うのだから試合は拮抗するに違いないと。


そして最も足りなかったメンタル。この春大会を通じて前半30分間は常にBADパフォーマンスである。試合展開を難しくし、自分達の首を絞めた。一歩間違えればこの試合の権利すらない状況だったかもしれない。この原因がどこにあるのかを探し理解しなければいけないが、大舞台を経験したことがない選手に自信がないことは明らかである。そうゆう意味ではチームがまとまる厳しい何かを乗り越える経験が必要だ。自分自身に厳しく、人に厳しくできない彼らの姿勢を変える何かのきっかけが・・・・・

ハーフタイム。
コーチから修正されたことはメンタルとブレイクダウン、そしてワセダらしさ。理屈ではない部分で勝負から逃げている。この60分に半年間の結果を求めていたのに、そのような姿勢でワセダとして良いのかと問いかけられた選手達。その意味を理解できたかは後半30分のパフォーマンス次第。


後半キックオフ。
早稲田のラグビーとは?その答えの一つ。ボールをワイドに持っていき、ボールを動かすと同時に観ている人の気持ちも動かすこと。後半からボールを外に持っていく戦術に変更。その変更がゲームを動かす。前半30分で自分達では見つけることができなかった解答を教科書通りに実行していく。そうなればゲームは必然的に動き出す。自分たちがすべきことをシンプルにクレバーに。
その中で卓越したパフォーマンスを披露したのは11番・別府。高校からラグビーを始めてからまだ1年とは思えぬ抜群の視野と判断で前に出ていくと、チームを勝利のベクトルへと導いていく。恵まれた身長に体重がつけば早稲田摂陵史上最高の選手になる可能性を秘めているこの男が、DFラインをブレイクしていく。ラグビーはチームプレーであり、味方のお膳立てなくしての活躍はありえない。しかし、その期待以上のパフォーマンスを見せた彼はチームメイトからも一目置かれる存在になった。その2年生の活躍に共鳴するか如く、3年生のBKが躍動し始める。正しいプレーモデルが導き出すプレーに試合の主導権を徐々に握り、ゲームをコントロールした。
最終結果は45-0.




プラン通りに手に入れたシード権。しかし、今日の試合内容ではシードを持っている中では我々は弱いだろう。それが現実で、ここはラグビー激戦区大阪である。現状に甘んじて正しいプランを消化しなければ下剋上は常に起こる。大澤組に与えられている課題は解消されるどころか後退している。努力とは何だろうか。こだわるとはなんだろうか。結果とはなんだろうか。
そんな彼らに向けられる言葉。
「何の為にラグビーをしているのか、誰の為にラグビーをしているのか」
その大義を持ってグラウンドにこなければ成長はない。全員がその現実を真正面から受け止める必要がある。見て見ぬふり、ごまかす、ベクトルを変える、言い訳をする、諦める、それが今のチームの課題だ。
熱い男はどこだ?今までの代には必ずいた熱い男。その熱が徐々に伝わり最後には全員を熱のある男に変えた。
物事に真剣さが加われば自ら考え、行動する必要になる。自分自身を見つめ、向上しようとする。結果を踏まえて甘んじるか、自分に厳しさを持って取り組めるかで彼らのゴールは異なる。
ここからの半年間が最も成長する時間。一日の時間は全ての人間に平等だ。他のチームでは1日にかけられる練習時間が異なるかもしれない。だが、決められた時間の中で高い強度と質があれば十分な時間があるはずだ。お前たちはどちら側になる。熱い男か。冷めた男か。その姿勢は日々のグラウンドで表れるものだろう。

たくさんの応援ありがとうございました。これからの大澤組の成長を楽しみにしていてください。