VS東大阪大学柏原高校「求められた勝利。ゲーム理解度が導いた勝利への道筋」
2018/04/19
「勝利」という結果を追い求めていた。
勝つことがどれだけ難しいか思い知らされた1月の新人戦。今までの伝統や紡いできた歴史など全く感じることができなかった大澤組。
あれほどの衝撃的な敗戦はなかった。点数差もあったが、ワセダらしさのカケラ、赤黒のオモミを微塵も感じ取れなかった敗戦。その紡いできた糸が切れた敗戦と赤黒ジャージを着て熱を感じれない男たちの姿を見て、OB達は失望したに違いない。自分たちも先輩達と同じように簡単になれると思った行動と姿勢が全ての結果だった。血の滲むような努力と誰にも負けたくないという誇りが根底にあるからこそ引き出される、ワセダらしさ。その本質から目を背けた練習強度と練習量、マインドセット。そこから導きだされる答えがわかっていながら改善できないことが1番の問題だった。答えを変えることも、変えないことも自分達次第なのに・・・・・どこか他人事のように感じる大澤組だった。
プライド無き者の敗戦。
お前は負けたのにどうしてそんな顔ができるのか。悔しさが溢れ出して伝わってこないのは本気で求めていないからだ。そんな男達が何かを成し遂げることはできない。それはラグビーというスポーツから離れたって同じこと。本当に熱いラガーマンはどんな組織にいても周りを巻き込み、組織を良い方向に導いていく。自分を良い方向に改善していき、現状維持を認めない。
いつだってスポーツには勝者と敗者が存在し、勝者には光が当たる。Good loserなど自分たちを慰める言葉にしかない。それでも自分たちが全力を出し、本気で追い求めた行動や姿勢ならば観る者を惹き付ける。
その姿勢を変えることに注力した3ヶ月。自分達の力の無さを認識し、すべき事を提示され、その目標にひたむきに向き合った。向き合ってもなお目標の40%ぐらいしか結果が出せない集団。だが、少なくとも自分達のすべきこととラグビーのゲーム構造を少しずつ理解することができた3カ月。自信と疑心を持ち合わせ、迎えた高校総体1戦目。
自分達の歩んできた道は正しいのか。いくら頑張ってきたと言ってもそれは自己満足では意味がない。努力してきた成果があらわれて
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初めて自分を信用しチームメイトを信用する。これからも努力することができる為には勝利が必要だ。勝利こそがこの大澤組には一番必要な成長の薬であった。
アップで今日のゲームで大事な事を確認していき、大澤の北風でスタートした前半。
最初にチャンスを掴んだのは東大阪大学柏原。強力なFWがラインアウトからゴール前に侵入し、FWフェイズから最後はこだわって先制点を奪われる苦しい展開。
先制点はスポーツにおいて大事だ。経験値の少ない大澤組には重かったに違いない。しかし、そこからズルズルいく事なくボールを継続して、ゴール前に侵入すると最後は上條がトライ。5−7
中盤での攻防を我慢し次にチャンスを掴んだのも早稲田摂陵。敵陣ゴール前からラインアウトモールでトライ。12−7
そこから一進一退の攻防が再び。ゲームが膠着する中でチャンスを掴んだのは再び早稲田摂陵。ゴール前のラインアウトから小内が飛び込みトライ。自分たちがすべきことを理解してのトライはチームの成長を感じとった場面だった。キックも決まり19−7で前半を折り返す。
ここからが本当の勝負。公式戦で勝ったことがない大澤組に訪れるプレッシャー。そのプレッシャーを乗り越えることができればチームが成長する。この後半30分間が最も経験値が上がる時間である。後半のプランを確認し、後半のキックオフを迎える。
後半は防戦一方の展開。勝利を意識してか、はたまた勝ちたいという焦りからか反則を重ねる。レフリーのコールに反応して自律できないところが未熟さの表れ。結果的には相手を助け自分たちを苦しめる展開に。まさに自滅。
幾度となくゴール前でリモールを組まれそうになるが、今日は簡単にゴールラインを明け渡さない。ここぞの集中力で跳ね返してターンオーバーから脱出する展開に。それでも後半残り5分で相手にトライを許し
19-12
ここで守るのか攻めるのか。試される成長の証。レフリーからアドバンテージの声が。3点が十分狙える位置で彼らはプレーを止めることなく、トライを狙いにいく。この守らない姿勢が結果的にはトライに繋がり、24-12でノーサイドの笛を聞いた。
厳しい60分間だった。我慢の連続だった。その中で自分たちがすべきことを理解し、身の丈にあったラグビーをした彼らは褒められるべきであろう。新人戦から成長した姿は確かに見てとれた。我々ワセダが持たなければチャレンジャーとしての姿勢とあくなき向上心。赤黒の重みを理解し、マネージャーへの勝利のプレゼントという約束を果たした。
一戦一戦求められる成長。その中で求められる結果。練習してきたからこそ得た結果。トライ。正しい判断の基に導かれたプレーもいくつかあった。全ては毎日のグラウンドで本気で取り組み、コーチの要求に応えられるかだと理解したはずだ。大澤組のストーリーはまだ始まったばかり。
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