VS日新高校『絶望の淵からの生還。危機感が生む相乗効果』
2014/04/20
4月20日
対戦相手は日新高校。近年の結果から見れば、公立NO1の実力であり新人戦も準優勝と毎年素晴らしいチームを作り上げている。我々としては追いかける立場でありチャレンジャーとして挑む試合であった。
振り返ると先週の常翔学園戦では完膚なきまでに倒された。絶望の一歩まで追いつめられた。
相手の素晴らしいところばかりが目立ち、ワセダとしての誇りや熱は感じることができなかった。赤黒ジャージを着るということは、歴代OBの魂を受け継いで戦うということであり、負けは許されないということなのに。そんな気持ちを練習中から感じられない雰囲気では、試合の結果はおのずとわかること。
そして、示された週初めのメンバーボード。
そこで呼ばれるAチームのメンバーに上級生の姿はほとんどなかった。
初めて受ける屈辱。初めて知った現実。絶望の淵に追い込まれた上級生。
示された現実に危機感を抱かない者はいなかった。
Aチームの半分に1年生が入るという異例の事態(公式戦には出場不可だが)それはこの5年間ではありえない光景であった。罰ではない。実力でそのようになったことは、上級生みな認識しているからこそ、危機感は増大したに違いない。
そうして始まった今週の練習で、Bチームのメンバー、いや上級生の意識と危機感が明らかに変わった。BチームがAチーム相手に何度かトライをとり、下のボールには素早く反応して必死にボールを確保するBチームの姿を見て、今週の練習の雰囲気は理想に近かった。自主練もするようになり、初めて努力しなければいけないことに気付いた。そうでなければ、自らのポジションはなくなってしまうからである。2,3年生で気付くのは若干遅いが、彼らのその努力と成長を信じたい。
Aの相手が強くなければそのチームは強くなれない。早稲田大学でも下のチームが強いときには優勝する流れがある。
話しを戻すと練習は120%。誰もが当たり前のように着られるジャージでは、その価値と強さは生まれてこない。そのジャージにふさわしい努力を練習したものだけが、着られる権利を得なければならない。だからこそ、今年の一年生の存在は、チームの相乗効果を生み出すきっかけになりつつある。閉塞感漂う雰囲気を打破するきっかけを得ての試合に、コーチ陣は期待を持ちつつ試合を見守った。むしろ、この試合で変われなければこのまま今シーズンに終わりを告げるぐらいの大事なゲームであった。
試合前、コーチから
『ジャージは奪い取るもの。相手に勝つことはもちろんだけど現状の自分を変えなければ、来週はAチームにいられるかわからない。上級生にはAチームを取り返すチャンスが来た。誰もが認めるパフォーマンスを出すように。チャンスを生かすかどうかは自分次第』
そして始まった試合。
ラインアウトは安定するものの、その後の攻撃には威力なし意図なしでキックは取り返す、競れる位置に上げられず、プレゼントキックばかり。そうこうしているうちに、自らのミスで首をしめ、敵陣から自陣の深くまで攻め込まれてしまう。
そんなときもっとも立ち返らなければいけない場所はワセダ=タックル。
タックルはやる気、そしてやる気!(オールブラックスのDFコーチが言っていたので間違いない)
やる気のない人にはDFできない、教えられない。つまり誇りを守る、自分のプライドを守る、誰にもこのジャージを渡したくないという気持ちがあれば、DFはできる。
その大事なDFで前に出ることによって相手の攻撃を寸断し、前半終了間際になんとか1トライを重ね7-0で折り返す。
ハーフタイムでコーチから
『ブレイクダウンは勝っている。もっと強く、ブレイクダウンで勝負しよう。
無理なプレーではなく、ブレイクダウンで勝負して継続すること。』
後半はエリアよりもボールを継続することに作戦を切り替え、ブレイクダウン勝負の土俵に持ち込んだ。その甲斐もあり、ジワジワとゲインをきり、3トライを重ね26-0で試合は終了し絶望の淵から生還したが、前後半ともペナルティーが多く、モラルのない行動が見られた点は苦言を呈しておかなければならない。
藤森コーチ
先週よりも良い点はいくつかありました。
そこにあったキーワードは『危機感』。
この言葉が今までのチームにはなかった。それは強いチームには当たり前のようにあり、我々のように選手層の薄いチームでは自然と生まれるものではなく、自らが律して生み出さなければいけないことなんだけど、どうしても人間はみな楽な方に逃げたがる。うちのチームに限ったことではないんだけど、楽をしたり、努力しなかったりすればその代償は必ずいつか出てくるんだよね。
そうならないために、数名のリーダーがいるんだけど、リーダーもさることながらその周りにいる選手が甘えすぎているからね。3年間継続して努力するためにはその学年にいるリーダーがいかに厳しくできるかであり、誰でも3年生になれば前よりやるからね。だけどそれでは遅い。何かが起きてからするのは対処でしょ?そうならないための準備を我々のような追いかける立場にある者たちはしなければいけない。
話は変わるけれど、練習で意識していることでそれが試合にそのまま出ていたのは評価できると思います。それぞれの仕事の質と判断力を向上させるためのトレーニングに時間を割いているのでだいぶ良くなってきていますが、まだまだラグビーの根本で勝負できるほどの力がないので、上級生は相当意識改革が必要。意識が変わってきている人間は数名みられるけどね。
1年生が入ってきて、良い意味でチームには危機感が出て来たし、争いも出てきた。
今年のチームは誰が最後にAチームにいるかわからないですね。それぐらいみなの実力が横一線。要は努力した者があのジャージを着る権利を得ると思います。1年生のポテンシャルは高いね。
試合はDFが良かったですね。0点に抑えたのは彼らの危機感の表れです。
個人としては高畠が一番良い。安定したパフォーマンスを出しているし、チームの貢献度はNo1です。ポジションチェンジで悩みが解消したと思います。小林も危機感がプレーに表れていたように思います。ただ、次の啓光戦が変わったかどうかの判断になると思います。それをみて、今のチーム状況を考えたいと思います。
最後にペナルティーが多いのは、我々指導者がそこの部分を厳しく言わなければいけないとの同時に、選手間の意思統一とモラルの向上が必要である。
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