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VS大阪桐蔭 『There were no men with the pride of the WASEDA RUGBY』

2013/02/03

 この大舞台に早稲田を体現する男、早稲田の誇りである赤黒ジャージを着るのにふさわしい男、早稲田らしさを持ち合わせた男は誰一人としていなかった。
再度味わった屈辱。
相手に牙を剥いていけない赤黒軍団、淡々とプレーしていく赤黒軍団、試合開始から終了まで誰からも聞こえぬ『BIG BANG』コール、断固たる覚悟、決意のない早稲田、抜かれても必死に戻ってタックルしない早稲田の姿に観客は呆れ、我先にと帰り支度をはじめた。これが早稲田ラグビーなのかと無言のブーイングであるかのように・・・


 
2月3日。初の決勝戦進出。舞台は花園第二グランド。
相手は花園常連校・大阪桐蔭。すべての選手が一流、その中でも今年の大阪桐蔭は現時点で大阪一ではないかと言われる実力である。その証拠は決勝戦に出たどのチームよりも完成されたフィジカルにある。体重だけでなく、身長もある抜け目ないフィジカルに早稲田が誇る平均体重92kgのFWはとても小さく見えた。
早稲田摂陵になって初のチャンピオンを争う戦い、津志田組初の『北風』、そして『寄せ書き』に気持ちは高まり準備は整った。


 
 
11時15分 キックオフ
その合図は早稲田のわずかに掴みかけた自信を打ち砕く合図でもあった。100kg近くある大型FWのATに試合序盤は必死に食い下がるが、二人目の巧みなプレーでボールを前へ動かされ、この日もっともゲームを支配していた大阪桐蔭の10番に次々と試合の行方を決める決定的な仕事をされる。パスしてよし、ランしてよし、そして何よりも誰も触れられないスペースへコントロールするキックに早稲田は振り回され、成す術なくトライラインを5分に一度のペースで明け渡した。攻めようにもラグビー界のタブー、キックオフミスでリズムを取り戻すきっかけを無くし、毎度おなじみのラインアウトミスのオンパレード、そして早稲田が一番自信を持っていたスクラムで相手3番側からターンオーバされると拠り所がなくなった赤黒軍団は途方に暮れ、ただひたすらにタイムアップの笛が鳴るのを待っていた。継続しても前には進めず、ラグビーの大切なブレイクダウンでも完敗、空中戦でも完敗となればゲームの勝敗は決まったも同然。白い旋風に赤黒軍団は次々となぎ倒され、その跡地には虚しさという感情だけが残った。


 
『0-89』
新人戦決勝で突きつけられた現実。すでに早稲田は土俵際に追い込まれた。残された時間は9か月。90点差を埋めるのにはもう時間がない。そして、それを埋める努力は並大抵のものではないだろう。決勝進出して喜んでいる時点で同じ土俵に立てていなかった。
準優勝では意味がない。早稲田では準優勝は1回戦負けと同じ。『荒ぶる』を歌えたかどうかが評価されるポイント。それは附属、系属でも早稲田の名を背負っているなら同じこと。
赤黒を身にまとった彼らはどのような気持ちでこの60分間を過ごしたのだろうか?失われた自信、信頼、誇り。
取り戻すだけの覚悟が彼らにあるのだろうか?
この日、唯一の収穫は決勝という舞台を経験できたこと。初めて見る景色、感覚、そして目の前で見せつけられた頂点への登り方。
何にせよ大阪トップ6の壁は早稲田摂陵には高き壁であることがわかった。



 
藤森コーチ
すべてが甘かった。今日の試合でここまでよく来たとか、よくやったと思っている選手、保護者、スタッフがいたら早稲田は一生勝てない。はっきり言って全然ダメ。良いところを見つける方が難しいぐらいひどかった。何一つ大阪桐蔭さんに勝る部分がなかった。ハーフタイムでは赤黒ジャージを脱げと言いました。それぐらい赤黒にふさわしくない男たちだった。必死さ、ひたむきさ、泥臭さ、しつこさ、チャレンジャーとして早稲田としてすべきことが何もなかった彼らを見てがっかりしたね。
学校での練習を見ていて、ぬるい、甘い。そこの中心にあるのが責任感の欠如と早稲田としての誇りの欠如。試合に出るにあたって求められる個人スキルを練習していない現状じゃ一生勝てない。しゃべりながら合わせている、言い訳、一本の練習を大切にできない姿勢が改善されない限り、早稲田はこの程度のレベル。自主性、自発性といった自らが進んでやるというのがまったくない。
合わせて緊張感がグランドにない。グランド全体に聞こえるコーリングがまったくない現状はチームの弱さの象徴。声が出ないのはずっと言っていること。声がないのは意識、責任感の欠如、他人任せの証。その一本は決勝戦の一本だと思っている奴が何人いるか。そしてその雰囲気を作れるリーダーがいなかった。
もう、絶体絶命です。なぜなら早稲田には才能という武器がなく、唯一改善できる方法は努力という言葉の体現しかないから。努力で才能を上回るためにはかなりの練習が必要です。この戦いで自分たちの現状と改善のヒントはいくつかあったので、この9か月で追いつけるようにしたい。